アメリカ・シアトルが拠点の百貨店ノードストロム(NORDSTROM)は10日(現地時間)、今秋マンハッタンにグランドオープンする旗艦店を一部プレスに向けて紹介した。同店は10月24日にオープン予定。1年半前にブロードウェイを挟んだ場所に先行オープンしたメンズ館を含めて、同社にとって本格的なニューヨークでの足がかりとなる。

工事は9日に大半を終えたばかり。これから内装を整え、什器を入れ、商品を並べる。このため、現段階ではほとんどのフロアが撮影NGだ。

それでも7層構造で地上5階、地下2階の店舗が、従来の百貨店の当たり前を踏襲していないことはわかる。すでにEC化率が30%を超え、特にこれまで近隣に店舗がなかったニューヨーカーがオンライン最大の顧客という同店は、先行オープンしたメンズ館同様O2O施策に積極的。すでにメンズ館でもオンラインで注文した商品を店舗で受け取れるシームレスなショッピング体験を提供しているが、本館グランドオープンに合わせ、オンラインで注文した商品の返却も面倒な書類の記入やパッキングなどせず、店舗でドロップオフできる環境を整える。また、店内にはデジタルウォールのほか、携帯の充電チャージステーションを随所に完備する予定だ。

北米を中心に120以上の百貨店と、アウトレット業態「ノードストロム ラック(NORDSTROM RACK)」は240店舗以上を展開するノードストロムだが、ニューヨーク・マンハッタンについては、サックス・フィフス・アヴェニュー(SAKS FIFTY AVENUE)やバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)、ブルーミングデールズ(BLOOMING DALE’S)、そして破たんしたバーニーズニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)を追随する。そこで、EC化率も高いことから、「コミュニティーのハブにならなければ生き残れない」と一族のピート・ノードストロム(Pete Nordstrom)ヴァイス・プレジデント。既存百貨店から遠いアッパーウエストの富裕層や、地下鉄のハブ駅コロンバスサークル利用者をターゲットに、彼らにとって居心地の良い空間を構築する。まず壁面は、基本全てガラス製。ドイツで生産し、スペインで加工した湾曲するガラスで壁面を作り、店舗全体から自然光を取り入れ、マンハッタンの街並みが一望できる環境を作る。

店内には、7つの飲食施設を設ける。好調なシューズやビューティは2フロア展開。特に女性靴は1フロア全てを使い、「ヴァンズ(VANS)」から「ヴァレンティノ(VALENTINO)」までを同じ売り場に並べる。オープン時、シューズは50、バッグは100の限定品が並ぶ予定。ライバルに比べ手頃な商品も多く、婦人服では「カナダグース(CANADA GOOSE)」「メイドウェル(MADEWELL)」「トップショップ(TOPSHOP)」なども取り扱う。

構想から7年。期間中、状況は大きく変化し、当初は本館に組み込む予定だったメンズフロアをスピンアウトするなど、計画は大きく、何度も変わった。ピート=ヴァイス・プレジデントは、「予定しなかったことも多々あったが、顧客にベストオファーを提供するため、突発事項は柔軟に受け入れ何度も計画を練り直した。マンハッタンでの成功は、世界的な百貨店になるため必要なステップ」と話す。EC化率高さを含め、現在アメリカの百貨店業界では頭一つ抜きん出た存在になりつつあることに水を向けると、「拠点がシアトルなのが良いのかもしれない。シリコンバレーは、常に刺激を得ている」という。

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